設立趣意書


 性暴力被害にあった人たちは、それまでの日常生活が突然、裏切りと恐怖、混乱、屈辱に一変するような経験を余儀なくされます。

 しかし、このような時に被害者が安心して被害を訴え十分なサポートを受けられる緊急支援体制は、いまだほとんど確立されていません。

 そのために被害者は傷ついた身体とこころにふたをすることで性暴力が「なかったこと」のようにふるまうか、自ら警察や医療機関、法律相談の場へ赴き思い出すのもつらい被害について繰り返し話さなくてはならないのが現状です。

 このことが被害を潜在化させ、またダメージから回復することを遅らせている可能性もあります。

 内閣府調査によれば、性暴力被害者の67.9%がどこにも、誰にも相談していません。また被害にあった時期として小学生以下が13.4%とされており、自らの被害を訴えることが難しい子どもたちにとっては、被害が放置されることで発達や生活に及ぼす影響は計り知れません。

 このような問題を解決するためには、性暴力被害者に被害直後からの総合的な支援を一人一人の状況やニーズに合わせてコーデイネートし、可能な限り一ヶ所で提供する、あるいは当該支援を行っている関係機関につなぐ機能をもつワンストップセンターが必要不可欠です。

 国の方針としても、第2次犯罪被害者等基本計画ではワンストップセンターの設置を促進するための施策が盛り込まれています。

 私たちは兵庫県でのワンストップセンターをめざし2013年4月より「性暴力被害者支援センター・神戸」(*)を開設します。

 私たちの活動の基本は性暴力被害にあった人たちに寄り添い、本人の意思とペースを尊重しつつ、心理的支援、医療支援、法的支援、生活支援など必要な支援へつなげ、これまでばらばらに機能していた性暴力被害者への行政・民間の支援を有機的に結びつける役割を担うことです。

 また、私たちは被害にあった人を孤立させない「つながる、交流の場」の提供を事業の一つとします。

 当事者同士の支えあいは、被害者が抱きやすい社会からの疎外感を和らげ、自ら回復する力を呼び起こす効果があるからです。

 被害者の声に耳を傾け、ニーズを反映することで、より質の高い支援を提供するとともに、被害者の声を社会に伝えることで、これまで「なかったこと」とされてきた性暴力を私たち社会全体の問題として取り組む必要があることを強く訴えていきます。

 そして「性暴力被害にあった人へよりよい支援を提供する」とともに、「誰もが安心して暮らすことのできる、性暴力のない社会を作る」ために、性教育や講演などの啓発活動を積極的に行い、社会に対し私たちの知識と経験を広く伝え、すべての人がより良い性のあり方やパートナーシップについて考えられる場所として地域に貢献していきます。


                                   2013年4月

 

*2014年4月、移転に伴い、「性暴力被害者支援センター・ひょうご」に名称変更いたしました。